2022.11.27 04:01学生に鍼をしてもらう2前回、「学生に切皮をしてもらう2022.11.20」からの続きです。力まかせに鍼をしてはいけないのですが、そういう鍼の扱い方が一般的のようです。そういう自覚がある施術者自体が少数なので、こういうことは問題にされていません。ちからまかせ、というのは入れようという意思が強すぎたり、相手の反応を感じないまま打つということです。一言で言えば「我」です。それでは微細な感覚がつかみづらくなる上に、”共鳴”が起こりません。いわゆる得気は相手の感受性があまり問題にされない傾向があり、共鳴現象と呼ぶには一方的すぎる感じがするのでわたしは分けています。作為があるとちょうどいいところが見えづらくなるこの”共鳴”はとても大事です。共鳴現象は鍼でも按摩でも起こせますが、「ちょう...
2022.11.26 02:15手首の痛み主訴:右手首と肘が痛いマウスをにぎっているとだんだん痛くなってくる。マウスの持ち方をエアーでやってもらうと、癖があります。手首を背屈・尺屈すると痛い。負担がかかっているのは尺側手根屈筋のようです。尺側手根屈筋は有鈎骨、第5中手骨で停止しますが、種子骨である豆状骨がちょうど滑車のような働きをしています。この有頭骨、第5中足骨のあたりには腫れぼったさがあり、押さえると嫌な圧迫感がありました。
2022.11.25 02:05ペットボトルの蓋が開けられないわりとよくある症状です。親指が痛いそうです。ただ、いきなり痛くなったそうで心当たりはありません。よくあるのは手根管症候群です。手首で正中神経が圧迫されて起こる絞扼性の神経障害です。たしかに手首には微かな腫れがあります。ただ、痛い場所が典型例とは異なりますし、母指球の委縮もティネル兆候もありません。探ってみると太陽病の兆候がありました。一見、風邪の兆候はありませんが、身体所見がそれを示しています。確認したところ、即座に指の動きがよくなったのでビンゴです。これを指の痛みとしてみていると治せません。
2022.11.24 03:00ストレスについて前回、精神的な面での影響があったと述べました。いわゆるストレスですが、原因論として語られるばかりで、なんら実態が明確になっていません。そのため、どのような場面であっても、正体不明の不調の原因はストレスのせいにされがちです。しかし、身体所見をとれば、精神的ストレスの痕跡は残されているため、施術者側は分かります。ただ、そこには濃淡があります。明確になっているとき、なっていない時があります。また、その反応にかぶさるように他の反応が表立っている場合もあります。その場合、表が取れてこないと、奥の問題が見えてきません。治療は一度で終わるのではなく、段階を踏んで変化しながら変わっていくものです。こじれた症状ほどそうなっています。1、白いカバーが覆いとなっている。
2022.11.23 03:01上咽頭と緊張主訴は後鼻漏と咳です。Bスポットを十数回受けてきたそうです。それで「多少良くなったが・・・」ということで来院されました。初回治療後、咳が半分くらいに減りました。しかし、その後何度か試みても、確かに取り切れないものがあります。そこで精神緊張を下げるような治療の割合を増やしたところ、とても調子がよくなりました。この方の場合、上咽頭に原因があるのではなく、原因は他にあったという訳です。その影響の「場」が上咽頭というだけで、上咽頭炎は結果でしかなかった。ややこしいのですが、眼に見えるものばかりを追っているとそこが見えません。この辺の因果関係の混同はよくあります。毎回、初見で見破れればいいのですが、治療を重ねていく中で見えてくることもあります。
2022.11.22 01:41シートベルトが嫌!主訴:右肩が痛い。シートベルトが当たると嫌。分かりやすく言うと投球フォームを作ると痛みが出ます。野球選手ではなく主婦です。ボールは投げません。2週間前から痛くて眠れない。普段は葛根湯で肩こりもなくなるが今回は良くならないという。鎖骨下から上腕二頭筋、手根部に薄っすら腫れがありますし、少陽病の気配があります。少陽病の治療をしました。紹介されて来たものの、「鍼が怖い」というのでテイシンだけで治療です。数分の治療で痛みが消失しました。
2022.11.20 11:12学生に鍼をしてもらう鍼は刺入する方法のひとつに菅針法があります。管を使って、「トントン」と軽く刺入します。これを「切皮=皮を切る」と昔の人は表現しました。実際には「切る」のではなく、表皮細胞のあいだを分け入っていくという感じです。「皮切り三年」といい、切皮が上手くできるようになるまで三年かかると言われています。それで本題。昨年の事です。ある学生さんの切皮の練習台になりました。ほとんど人に鍼をすることが初めてという学生です。しかしというべきか、だからというべきか、それはもう、、、目が覚めるようなピュアで澄んだ切皮でした。タイミング、角度、強さ、深さ。すべてが完璧。切皮された瞬間に全身に心地よく響きわたっていく。練習台になってあげたつもりが、思わず我が身を振り返ってしまうほど...
2022.11.19 03:05新型コロナ後遺症6.鼻腔共鳴ができない主訴:思うとおりに声が出ない。慢性上咽頭炎との診断です。声を使うお仕事上、思うとおりの声が出ない、せき込んでしまうといった不調はとても問題です。鼻腔共鳴という技術があるそうですが、それがしにくい。後鼻漏があります。左耳も蓋をされたようにボーっとしたり、二重に聞こえたり、パカパカする感じもある。つまり、のど、鼻、耳、全部辛いわけです。顔面の症状って複数が同時に出たりするので地獄なんですよね。私もそうだったのでよく理解できます。診てみると、舌と顎の動きがとても悪くなっています。声を出して、音を鼻に当ててもらうと響き方が場所によってまったく違うことに気づきます。そういう事は普段、自分で知りようがないのですが、こうして一緒に確認してもらうとよく理解できます。
2022.11.18 00:28けいれん性発生障害2続きです。けいれん性発生障害とは、声帯に異常緊張が起こるために生じると考えられており、ボトックス注射(緊張緩和させる)を打ったり、手術が行われるようです。ただ、注目すべきはなぜ緊張が起こるのかということ。緊張はたんなる結果であって原因ではありません。ですが、緊張する原因が不明なのです。中枢神経系の制御に問題がある場合が指摘されていますが、「ちからが抜けない」という訴えも代表的な症状の一つです。自分で自分の体のコントロールができない。まだ一例見ただけ、という前提でですが、臨床的には食いしばりや歯ぎしりとも関連が深い、似通ったものを感じます。原因不明で決定的な治療法もないという点でも近しい。東洋医学的には、瘀血・血虚・心神の問題がベースにある点でも同じもの...
2022.11.17 03:05けいれん性発声障害けいれん性発声障害と診断を受けていたそうです。それが大分よくなったと報告をうけました。声を出そうとすると、かすれる、震える、音域が狭くなる、声量が落ちる等、思うようにでない。局所性ジストニアともいわれていますが、原因は不明です。実はこの方、元々はアトピー治療で来院されていまして、”声”と”肌”が同時進行で良くなっていったことが面白いです。わたしは鼻腔粘膜の機能は、五臓では肺との関連が深いと思っています。一方で、肺は皮毛(皮膚)をつかさどる。皮膚がよくなれば、粘膜系の状態も好転するのは当然の理屈なのですが、それが発声にも関わっていることが分かりました。