憑き物に甘草瀉心湯

『金匱要略』百合狐惑陰陽毒病脈証第三

ここに狐惑の病について記述があります。

狐惑の"狐"とは陰部にできた潰瘍を、"惑"とは喉にできた潰瘍のことを言い、症状としてはある種の精神異常を起こす病だと言われています。粘膜のただれなどという点でいえばベーチェット病のようなものにあたるのではと成書にはあります。


夜中に起きて舞を舞う。

それがまた気味が悪いくらい上手く踊るのだという。

このままでは嫁にやることができないから、どうにか治してほしい。そうして、そんな娘を甘草瀉心湯で治したという話があります。


甘草瀉心湯は基本的には消化器系の症状に使う薬方ということになっていますがこのような例に応用できると言うのが面白い。

初めて読んだ当時は「そんなこともあるんだな」くらいで受けていましたが、近ごろになって臨床的に合点がいくところがありました。

鼻腔~消化器粘膜の不調とメンタル面での不調との関連は興味深いものがあります。

探花逢源

福岡県福岡市 誠花堂院長のブログ