2024.04.20 00:49急性低音障害型感音難聴2何度聞いても、お経みたな名称です。字面だけを見ていると気が重くなるような感じがします。突発性難聴よりは軽症という扱いであり、これまで治療させて頂いた限りにおいては、確かに鍼も効きやすい気がします。ただ、長期化して苦しんでいる方もおられるようでやはり色々なのでしょう。時間が経てばよくなるものもあるけど、時間が経ってもよくならないものもある。そんな人に鍼はいいと思います。
2024.04.16 00:15憑き物に甘草瀉心湯『金匱要略』百合狐惑陰陽毒病脈証第三ここに狐惑の病について記述があります。狐惑の"狐"とは陰部にできた潰瘍を、"惑"とは喉にできた潰瘍のことを言い、症状としてはある種の精神異常を起こす病だと言われています。粘膜のただれなどという点でいえばベーチェット病のようなものにあたるのではと成書にはあります。夜中に起きて舞を舞う。それがまた気味が悪いくらい上手く踊るのだという。このままでは嫁にやることができないから、どうにか治してほしい。そうして、そんな娘を甘草瀉心湯で治したという話があります。甘草瀉心湯は基本的には消化器系の症状に使う薬方ということになっていますがこのような例に応用できると言うのが面白い。初めて読んだ当時は「そんなこともあるんだな」くらいで受けて...
2024.03.22 10:58名前のないツボめまいがするという。耳の辺りからめまいが来ている感じがするとのこと。調べてみると手の三焦経の一本内側にツボがありました。そこに本来ツボはありません。変動穴といってもいいかもしれない。中心に強い実の反応があったので瀉してみると耳の違和感が消失。歩いてもらうとめまい感がありませんでした。名前のないツボということになりますが、それでも効くという事実は面白いです。
2024.03.16 00:55梅核気と月経異常梅核気が久しぶりに出たとのことですが、振り返るとここ数カ月の月経がおかしかったという。咽の不調の診察をしていて見つけた少腹急結ですが、少腹急結はそもそも月経異常にも大きく関わります。少腹急結とは漢方の用語であり、下腹部に現れる反応をいいます。下腹部が硬い=少腹急結と捉えている医師も多いようですがそうではなく、少腹急結という診断要件を満たすにはいくつかの条件がそろう必要があります。そこは専門知識がいるところなので省きますが、なにはともあれ少腹急結があれば瘀血の存在を示唆します。前回述べた経緯から、このかたの梅核気は瘀血であったといえます。また瘀血は月経異常にも関わります。ここ数カ月の月経異常が解消されないまま春に突入してしまったがために現れた梅核気だった...
2024.03.14 00:30梅核気と少腹急結「久しぶりに梅核気になった」という女性。梅核気とは、ヒステリー球ともいわれる咽の違和感です。漢方医に小柴胡湯に五苓散を処方されたものの、あまり効き目がないらしい。梅核気とみるや、半夏厚朴湯を出すようなテンプレ処方がなされることが多いですがそうではない。ちゃんとした診察を受けた上での処方のよう。診察させて頂くと、確かに小柴胡湯も五苓散も良さそうな気配。しかし、少腹急結による影響が大きく思われ、その処置をしてみると咽の違和感はその場で消失。ついでに頭痛も取れたという。ビンゴでした。薬方ならばもっとほかの処方ならよかったのかもしれない。「病名」と「治療法」を固定化させることができないいい例です。
2024.02.10 00:30中耳炎 中風と傷寒中耳炎にも色々あり、なかには自然治癒するものもありますが、おそらく”中風”の類でしょう。傷寒だと危ない。傷寒とは感染症です。抗生物質が出てくる前はそのまま髄膜炎に移行したり、後遺症が残る場合がよくあった聞いています。そういう経緯を思うと重症化・慢性化は怖いです。現代では抗生剤の乱用が問題になっていますが、そういう時代の名残なのでしょうか。普通の鍼灸院が鍼だけでこういった疾患に対応するのは基本的には難しいと私は思います。「また来週」なんていっていたら・・心配です。先日の中耳炎患者さんの話。その後、様態を伺うと中耳炎の症状はなくなっていました。陰部の腫痛も大分良いそうです。かわりに湿疹と水疱が現れており、身体の内外の関連を感じさせます。この方の場合は傷寒で...
2024.02.03 00:00井穴刺鍼 中耳炎耳が腫れて痛いそうです。中耳炎の女性です。足の厥陰肝経の所生病です。陰部の掻痒感・腫痛もあるので竜胆瀉肝湯といったところかもしれません。足の針をするとその辺は大分落ち着きました。ほかにも調べてみると手の関衝穴と中衝穴に反応があります。三焦経と心包経の井穴です。耳との関連を考えると経絡流注的にも適当そうです。消耗が強いので刺絡はせずに井穴刺鍼だけをしたところ、耳の疼痛は減りました。井穴は急性症、熱症に有効と言われますがその通りの結果です。こんなに効くなら刺絡しなくてもいいじゃないかというくらい効きました。井穴とは指先にあるツボで、手には6つあります。小指だけ2つあるから6つです。こんなところでなぜ耳に効いたのか。人体は面白いですね。
2023.12.19 01:05ハートウォーミングな鍼鍼をしていたら、胸がポカポカ温まったそうです。体位性頻脈症候群(POTS)、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)をお持ちの方で、新型コロナ感染後からの不調です。横から起き上がるとふらつきを覚え、身体を起こしておられない。この時に心拍数が大きく上昇。運転・歩行中、どこに視点を合わせたらいいか分からなくなる。イヤホンがダメで、大声で歌えない。悪天候で不調が増し、スマホも見れない。人込みでめまい。中途覚醒、寝汗、手の痺れ、足の脱力感。いろいろあります。起立性調節障害という病名をよく聞いた時期がありましたが、どちらも自律神経失調症の様相があります。治療法としてはなにも変わらない気がします。**鍼をした後、胸のあたりに感じていた寒々しさが失せ、胸が温まったそう...
2023.11.28 00:50顔の中が凝る顔の「中」が凝るなどというと驚かれるかもしれませんが、顔の中が凝っている人は結構たくさんいます。そういう人に最高な鍼を考えました。歴史上おなじような事を考えた人は他にもいるとは思いますが、わたしの知るところでは正穴にも奇穴にも該当するツボがありませんし、刺法も聞きません。なので一応、私の発明ということになります。始めは結構深めに刺したりしてましたが、ほとんど刺さなくても効果が出せることが分かったので、最近はそんな感じでやっています。早い人は一瞬で緩んだりします。物理的には届いていないのに奥が緩むというのは面白い現象です。さらに面白いことには、顔の中が緩むといいことが他にもあるということです。
2023.11.07 00:40吐方と慢性上咽頭炎2漢方において、汗吐下和(かん・と・げ・わ)という治法があります。「吐」方は吐かせる治療法であり、該当する薬方を催吐剤といいます。胃の内容物などを吐き出すことを指しますが、吐方はかなりきつい治療法だったらしく次第に廃れました。一方で、口内から痰を排出することで治癒していくという過程もまた、まさに吐法の一部なのではと前回述べました。上咽頭を病む場合、上咽頭単独で炎症がある場合もあるでしょうが、どうも下咽頭~食道あたりまで荒れていることはよく様子です。実際に目で見て確認することはできませんが、触診でもある程度の予測ができます。胸と腹を治さずに喉だけ治すことはできません。吐方の歴史は古く、『内経』『難経』にも記録があります。「髙き者は因りて之を越す」『素問』陰...
2023.11.04 00:19吐方と慢性上咽頭炎慢性上咽頭炎の治療をしていると、回復期の中盤から終盤にかけて痰をたくさん吐出する場合があります。今日も「前回治療後、オレンジ色の痰をたくさん吐いた」という報告を受けましたが、そういうことがあります。この現象がなぜ起きるのかを考えてみると、吐き出すべきものが上手く吐き出せていなかった人が、体力が回復するにつれてそれを吐き出せるようになってきた、、ということなんだと思います。上手く吐きだせないとはどういうことか。例えば「のどに張り付くような痰があって吐き出せない」という場合がよくあります。とても乾いている。それが治療をしていると、それが潤ってきます。咽頭部の細胞組織を内から潤すように分泌物が湧き、咽に染みつきへばり付いた痰が染み出してくるイメージを私はもっ...
2023.10.31 00:40刺絡から考える慢性上咽頭炎のどの不調を訴える人は多いです。慢性上咽頭炎という病名がつけられる人が最近では多く、Bスポット療法を受けてきた人をよく見かけます。たくさん出血して不調が治るという人もいますが、そうでない人もいます。あまり出血がない人。出血した割に改善しない人もいます。その謎について刺絡の視点から考えてみたいと思います。