2026.01.22 00:45緑内障と小腸経40歳以上では5人に1人が緑内障罹患者らしく、確かに眼圧が高くて悩んでいる方は多いです。『霊枢』手の太陽小腸経の病証篇には「目黄」の記載があります。そのまま素直に受け取ると、目が黄色くなる症状に対してだけ効くと解釈できますが、実際のところ、緑内障にも効くようです。黄疸症状と緑内障は別々の病気なのでそれぞれは無関係です。なので、病名横断的な視点がないと意味不明になるかとは思いますが、その壁を横断させうるのが東洋医学の知恵であり良さです。手の太陽小腸経の流注と目との関連で言えば、側頭部は重要です。手の太陽小腸経は、その支脈において目の”鋭眦”と”内眦”に至り、眼の内から外から挟み込む形になっていることに改めて気づきました。この事からも手の太陽小腸経は目との...
2025.12.25 01:00そんじゃそこらじゃないモノ「便秘が治るツボを教えてください」と聞かれることがあります。しかし残念ながら、ここに鍼をすれば便秘が治る等という確実なものはありません。人は確実なものを求めたがりますが、不確実なのがこの世界の現実です。特に人体においては、なおさらです。「そんじゃそこらの便秘ではない」のだそうです。西洋薬よりも漢方を頼り、それも大承気湯というかなり強い下剤も服用してきたし、針灸治療も10件以上のさまざまなところで受けてこられた。有名な先生方に散々施術をして頂いてきた。それでもだめだった。なので失礼ですが正直なところ、誠花堂でそれほどすぐに効果が出るとは期待はしてはいないし、仕方がないものなのだと思っている。でも何年かかってでも治したいのでお願いしますという。それほどの便...
2025.11.27 03:47段階があるということ先日、お越しになられた方も、コロナ後遺症が潜んでいたケースでした。断定はできませんが、時期と状態からするとおそらくそうなのでしょう。思いもよらないとはこのことで、本人はまったく原因として症状と結び付けてはいませんでした。しかし、ちゃんと経緯を聴いたり、身体所見を取ったのでこういうことがいえます。咽鼻の不調と胸の重苦しさが主訴ですが、よくあるセットです。逆流性食道炎という病名が付いている人も多い。ただ、この病名が落とし穴です。陰陽虚実なんてなにも考えられていない。自己紹介する時に「私は人間です」と言うくらいに意味がない。深い部分が傷ついている場合があり、後遺症の治療は東洋医学をもってしても大変です。あとから少陽病、陽明病の治療をしてももう遅いので、もっと...
2025.11.20 03:47コロナで陰病2回目のコロナにかかったという鍼灸師さん。麻黄湯を飲んだり、自分で鍼をしてみたそうですが、まったく治らないという。診てみると陰病に陥っていました。生命レベルが相当に落ち込んでいる状態です。こういう人は通り一遍の風邪薬なんかでは良くなりません。葛根湯、麻黄湯などもっての外。柴胡剤も白虎加人参湯でも合いません。これらは初期に攻めていくのにはいいですが、もうこういった治療が合わないところまできています。結局、数回の施術で回復したのですが、うまくやれればこのくらいのことは鍼でできます。病には時期と位置があり、そういうことを見ないで鍼をしても効果は期待できません。逆にそういう視点で見てあげれば、すべてではないにせよ、回復させてあげられるものが多くあると思います。...
2025.11.06 03:26人の庭にすべて足りるまで健康が回復するまでに時間がかかる人、かからない人。その違いはなにか。よく聞かれることです。ふと思いつき、庭の手入れに例えるとわかりやすいかなと思い、書いてました。あるお庭Aは雑草がぼうぼうな上、ゴミが散乱しています。なので、雑草を抜いて要らない物を処分すれば綺麗になります。あるお庭Bは大地が枯れ活力を失い、荒廃しています。大地を耕し肥料を撒いて、お花を育てたりしないと綺麗になりません。前者Aは、雑草を抜いたりするだけで綺麗になるので、言ってしまえばすぐ終わります。時間がかかるのは後者Bの方で、種を撒いて芽が出て育つまでにはどうしたって時間がかかります。途中で枯れることもあります。治療はこれに似てます。要らないものを取り除くだけで回復する人なら、治療は簡...
2025.11.01 09:55理屈を超えていく鼻づまりだそうです。肺虚と脾虚がありますが、右大都穴の瀉法でつまりが取れました。これは「氷で風呂を沸かす」くらいのおかしな理屈なのですが、こういう事が現実にあります。しかし、ここには少し嘘があるというか、ある限界があります。勉強しない鍼灸師は話になりませんが、あまりお勉強をしすぎても、こういうロジックから抜け出せなくなります。そうなると迷信に近い鍼になるので、効いたり効かなかったり不安定になります。そういうお話を10月の東京でお話させて頂く機会がありました。扁鵲という伝説の名医の診察法に迫り、そして今日の私たちの限界を超えていくという試み。臨床力を広げていくための工夫の一端としてお話させて頂きました。よく「鼻づまりに鍼が効きますか」みたいなよくある質問...
2025.10.01 05:30過活動膀胱の民間療法「過活動膀胱なんです」という方は少なくありません。鍼でも良くなりますが、過活動膀胱といっても虚実があり、すぐ良くなる人とあまり効果が出ない人がいます。先日、誠花堂の蔵書整理をしていたところ、長塩容伸氏の『症状別、病気別 民間薬療法』が出てきました。そこでは「頻尿」についてどう対処しているのか。いくつか方法が書かれてありますが、この本ならではの珍しい方法もありました。「カマキリを生きたまま2匹すりつぶし、小麦粉とねり合わせて布にのばし、足の土踏まずにはって包帯をしておく」等という方法です。不思議ですね。どうしてこの方法で効果があるのだろう。または「ヤマノイモをとろろにして毎日食べる」ともありました。カマキリのハードルが高すぎる。「尿閉」についても見てみま...
2025.08.24 00:43避けられないもの私は仏教徒という訳ではありませんが、医療者として考えさせられる言葉があったので、それを題材にお話してみたいと思います。人生には避けられぬ人生の苦しみとして「生老病死」があるそうです。医王と呼ばれたお釈迦さまの「四苦」の教えです。しかし、それを知った時、「未病」を唱える東洋医学者としては、「病は死と同じく避けられぬものなのか」とショックを受け、心に残りました。現代のように複雑で荒んだ時代を生きていく事は、ある意味で戦いです。「終わりの見えないマラソンのようだ」という人もいます。生きていくうえで、無理をせねばならない場面はたくさんあります。やってられないと思うことあります。息抜きに身体に悪い物だって食べたくなります。その場しのぎであろうと、身を削ろうと、生...
2024.04.25 00:55お米は好きですか?Aさん曰く、補中益気湯、健脾散が合わない。そして、米を多く食べると胃が逆流するという。このことは非常に勉強になりました。Aさんにとって、これらはある点で共通した問題があります。わたしは薬膳には詳しくないので『食材効能大辞典』を頼りに言えば、米には補虚・散寒作用があるそうです。「お米を食べると元気が出る」という人がいますが、それは補虚として働いているといえます。確かにこういう人は虚している人に多いです。私自身はお米を食べて元気になった記憶はあまりない・・・。気が停滞しすく実的な傾向がある人が米を食べすぎるとお腹が張り、酷いと逆流してしまう。Aさんは実的な傾向があったといえます。だから補中益気湯も効かないのも当然です。でも外から見るとどこか弱弱しく虚してい...
2024.03.30 00:14名前のないツボ2こういった、名前はなくともよく効くツボのことを横田先生は生きたツボと呼んだのだと思います。先生は「生きたツボをとれ」と常々仰られていましたが、生きたツボが取れると小さな刺激でも大きな効果を出すことができます。しかし、そのためには繊細な感覚がないとできません。そう言うとよく手先の繊細さのことかと思う人がいますが、必ずしもそう限定したものとはいえません。というのも、手先の器用さでは自信があった私でも初めはほとんど分からなかったからです。「ここにツボがある」と先生に指南して頂いてもまったく分からない。オカルト的に感じて早々に断念する人たちもいましたが、その気持ちは理解できます。私には強い信念があったので粘れましたが、でなければ私も断念していたかもしれません。...
2024.03.09 00:42天地が痞えて上咽頭炎前回から続いています。気が胸が痞えているだけならばまだそれほど症状が深いとはいえませんが、そこに痰飲が絡むと大変です。交差点の信号が壊れているのと、交差点でトラックが横転しているくらいの違いがあります。逆に分かりにくいかもしれませんが。痰飲が絡む場合はただ胸が痞えるというのではなく、重苦しいという雰囲気になります。痛みを伴う事もある。これを胸痺、酷いと結胸といいます。動悸・息切れ・不安症が伴う事も多く心臓病を疑われます。しかし大抵、心蔵に異常は見られない。せいぜい期外収縮が見られる程度。新型コロナ感染後にこういう状態になったという人が多く来院されています。病名としては逆流性食道炎といった辺りに落ち着くようです。後鼻漏も頻発します。こういう場合、最近は慢...
2024.03.02 00:25天地が痞える2「否」に「疒」で”痞”であり、”否”とは周易において「塞がる」の意味があります。天地否=䷋痞えるとは塞がる病であり、人体における陰陽、天地が塞がる病です。天地陰陽の不調和を現しています。ではなぜ天地が塞がってしまうのか。天が問題なのか。地が問題なのか。整体なんかでよく「首を整えればすべての不調は治る」とかいったりしますが、いわばそれは天だけが問題であるとし、天だけで問題を解決しようとするものです。逆にある人は地が問題だと考える。「骨盤矯正を治せばなんでもなおる」みたいな謳い文句がありますがそういう思考です。でも問題のすべてが首だけ、骨盤だけということはありえません。そういう単純な話の方が一般受けしやすいですが、分かりやすい話には偏りがあるので大体、真実...