2024.04.25 00:55お米は好きですか?Aさん曰く、補中益気湯、健脾散が合わない。そして、米を多く食べると胃が逆流するという。このことは非常に勉強になりました。Aさんにとって、これらはある点で共通した問題があります。わたしは薬膳には詳しくないので『食材効能大辞典』を頼りに言えば、米には補虚・散寒作用があるそうです。「お米を食べると元気が出る」という人がいますが、それは補虚として働いているといえます。確かにこういう人は虚している人に多いです。私自身はお米を食べて元気になった記憶はあまりない・・・。気が停滞しすく実的な傾向がある人が米を食べすぎるとお腹が張り、酷いと逆流してしまう。Aさんは実的な傾向があったといえます。だから補中益気湯も効かないのも当然です。でも外から見るとどこか弱弱しく虚してい...
2024.03.30 00:14名前のないツボ2こういった、名前はなくともよく効くツボのことを横田先生は生きたツボと呼んだのだと思います。先生は「生きたツボをとれ」と常々仰られていましたが、生きたツボが取れると小さな刺激でも大きな効果を出すことができます。しかし、そのためには繊細な感覚がないとできません。そう言うとよく手先の繊細さのことかと思う人がいますが、必ずしもそう限定したものとはいえません。というのも、手先の器用さでは自信があった私でも初めはほとんど分からなかったからです。「ここにツボがある」と先生に指南して頂いてもまったく分からない。オカルト的に感じて早々に断念する人たちもいましたが、その気持ちは理解できます。私には強い信念があったので粘れましたが、でなければ私も断念していたかもしれません。...
2024.03.09 00:42天地が痞えて上咽頭炎前回から続いています。気が胸が痞えているだけならばまだそれほど症状が深いとはいえませんが、そこに痰飲が絡むと大変です。交差点の信号が壊れているのと、交差点でトラックが横転しているくらいの違いがあります。逆に分かりにくいかもしれませんが。痰飲が絡む場合はただ胸が痞えるというのではなく、重苦しいという雰囲気になります。痛みを伴う事もある。これを胸痺、酷いと結胸といいます。動悸・息切れ・不安症が伴う事も多く心臓病を疑われます。しかし大抵、心蔵に異常は見られない。せいぜい期外収縮が見られる程度。新型コロナ感染後にこういう状態になったという人が多く来院されています。病名としては逆流性食道炎といった辺りに落ち着くようです。後鼻漏も頻発します。こういう場合、最近は慢...
2024.03.02 00:25天地が痞える2「否」に「疒」で”痞”であり、”否”とは周易において「塞がる」の意味があります。天地否=䷋痞えるとは塞がる病であり、人体における陰陽、天地が塞がる病です。天地陰陽の不調和を現しています。ではなぜ天地が塞がってしまうのか。天が問題なのか。地が問題なのか。整体なんかでよく「首を整えればすべての不調は治る」とかいったりしますが、いわばそれは天だけが問題であるとし、天だけで問題を解決しようとするものです。逆にある人は地が問題だと考える。「骨盤矯正を治せばなんでもなおる」みたいな謳い文句がありますがそういう思考です。でも問題のすべてが首だけ、骨盤だけということはありえません。そういう単純な話の方が一般受けしやすいですが、分かりやすい話には偏りがあるので大体、真実...
2024.02.17 00:25教えられ、鍛えられる新型コロナ感染後、胸痛があるという方です。不眠、動悸、息切れ、疲労があります。心臓が検査でひっかかることはない。ひっかることはないけれど確かに動悸はするし胸痛がある。「気にしすぎなのでは・・・」と周囲や医師から思われている人もいるようですが、わたしの実感としてはちゃんとそれなりの反応がお身体に出ているものです。そういうことは画像診断では映らない。そういう事はよくあります。これまでも大勢見させて頂きましたが、新型コロナ感染後の胸痛や不眠、動悸、息切れ、疲労などにはよく適応する感触です。そんな中でも極めつけの、手ごわい胸痛に出会いました。あらゆる手を尽くしましたが難攻不落。1mmも良くならない場合は私の手に負えません。ただ効かない訳でもないので工夫の余地が...
2024.01.20 01:07随証療法と病名治療わたしは痔にあまり詳しくありません。その割には治療成績はいい印象があります。痔の中でももっとも恐ろしいのが痔瘻です。それがわたしの治療によって「再発を防げている」といってたまにこられる方がいます。危うくなると体で分かるそうですが、治療後にはその感覚が去っていくそうです。特に痔瘻治療のメソッドなど持っていないので、はじめはどうしたものかと思いましたが、我々にできることは基本、証に合わせて治療をするのみです。そのまま治療をしました。しかし、それで対応できるのだから東洋医学は本当によくできていると思います。ただ、そのためには診察が絶対に要ります。脈を診るだけではなく舌も腹も診ますし、様々な角度から情報を合わせて原因を探ります。そのための訓練に多くの時間を割い...
2023.12.23 01:06愚鈍で行こう輪読会の話をして、その続きです。明日から使える技術セミナーみたいなものが活況の今、わたしたちがしていることは、世間様から見たら、愚鈍な集団にみえるかもしれないなと思う時があります。でも、私は思います。世間から愚かと言われるくらいがいい。鈍いくらいの方がいい。度が過ぎるのは困りますが、、、、わたしも若いころは随分、ばかにされたり笑われたりしてきました。そんな古臭いことをやってなんの意味があるのか。そんな金にもならない事に精を出してどうやって食べていくのか、、、そもそも鍼なんて本当に効くのか?? プラセボだろう、、、さんざん言われました。普通はだれもこの価値に気づけないのです。だから、世間には笑わせておけばいい。一心に邁進していくためには、中途半端な”聡さ...
2023.11.28 00:50顔の中が凝る顔の「中」が凝るなどというと驚かれるかもしれませんが、顔の中が凝っている人は結構たくさんいます。そういう人に最高な鍼を考えました。歴史上おなじような事を考えた人は他にもいるとは思いますが、わたしの知るところでは正穴にも奇穴にも該当するツボがありませんし、刺法も聞きません。なので一応、私の発明ということになります。始めは結構深めに刺したりしてましたが、ほとんど刺さなくても効果が出せることが分かったので、最近はそんな感じでやっています。早い人は一瞬で緩んだりします。物理的には届いていないのに奥が緩むというのは面白い現象です。さらに面白いことには、顔の中が緩むといいことが他にもあるということです。
2023.11.16 00:35随想:一日一施『一日一花』という川瀬敏郎さんの素晴らしい写真集があります。息が止まるほどに美しいとはまさにこの事。枯れた草花をこんな形で見せてくれた人をわたしは他に知りません。
2023.11.04 00:19吐方と慢性上咽頭炎慢性上咽頭炎の治療をしていると、回復期の中盤から終盤にかけて痰をたくさん吐出する場合があります。今日も「前回治療後、オレンジ色の痰をたくさん吐いた」という報告を受けましたが、そういうことがあります。この現象がなぜ起きるのかを考えてみると、吐き出すべきものが上手く吐き出せていなかった人が、体力が回復するにつれてそれを吐き出せるようになってきた、、ということなんだと思います。上手く吐きだせないとはどういうことか。例えば「のどに張り付くような痰があって吐き出せない」という場合がよくあります。とても乾いている。それが治療をしていると、それが潤ってきます。咽頭部の細胞組織を内から潤すように分泌物が湧き、咽に染みつきへばり付いた痰が染み出してくるイメージを私はもっ...
2023.10.31 00:40刺絡から考える慢性上咽頭炎のどの不調を訴える人は多いです。慢性上咽頭炎という病名がつけられる人が最近では多く、Bスポット療法を受けてきた人をよく見かけます。たくさん出血して不調が治るという人もいますが、そうでない人もいます。あまり出血がない人。出血した割に改善しない人もいます。その謎について刺絡の視点から考えてみたいと思います。