7.臓腑経絡説から爪の荒れを考える

しつこいですが指先の話をもうひとつだけ。


瘀血に対する治療として、桂枝茯苓丸を処方されている方がいます。主訴は唇のヒリヒリ感と肛門痛です。適切な処方のようで、飲み始めてからご持病が軽くなってきています。

ところがふらつきなどの貧血様症状と、爪に小さなボコボコが出てきて荒れる面があるそうです。四物湯を飲んでいる期間は、爪の状態は良かったのですがご持病の方は楽にならない。

爪が荒れるといっても、すべての爪が荒れる訳ではないのがみそです。

左手の親指、人差し指だけが荒れています。

写真では親指だけ写しています。確認しにくいですが、微かにボコボコとして元気がないことがわかると思います。


お腹を押してみると、おへその左側に硬いしこりがあります。(天枢穴から大巨穴の辺りです)。

四物湯ではこの硬結が緩みません。

桂枝茯苓丸だと緩み始めてからはどんどん緩んでいっています。


硬いところはただ緩めればいいという訳ではありません。ただ、この場合に関しては緩むことによって持病が減っていくので、関連があるとみなすことができます。


このケースで起きているいくつかの現象を、ひとつの物として理解するのには、臓腑経絡説という概念を用いると良さそうです。

ついでなので、次はこういう理屈の魅力と欠陥についても述べたいと思います。