以前、訪問在宅ケアをしている会社に勤めていた時の話です。
刺絡がよく効きそうな頭痛患者さんがいました。
通常の治療ではなかなか奏功しなかったのですが「血を絞りたいな~~」と思わせる色が後頭部に浮いていました。刺絡が良さそうです。刺絡とは鬱血と共に邪気を去るための刺法です。悪血とか瘀血などといいますが、頭部の鬱血のための起こる頭痛があります。
ただ「刺絡は使わない」というのが事業所のルールです。
当時まだ若く、鼻息の荒かった私は手柄が欲しかった。勇み足で代表と交渉にいきましたが退けられました。代表にとって刺絡は未知の療法でしたので不安は理解できます。でもそれ以上に浮足立つわたしの功名心や危うさを見抜かれていたのかもしれません。
ルールはルールなので、残念ですが仕方ありません。
後日。
その患者さんが自宅で転倒し大怪我をしたとご家族から連絡がありました。「今日の往診はキャンセルにして下さい~」とのこと。食器棚のガラス戸に頭から突っ込んでしまったそうです。命に別状はありませんでしたが、かなり出血したそうです。
で。
それ以来、慢性頭痛はなくなってしまった。
その報告を聞いた時、大変誠に不謹慎ながら「やっぱりね」と思いました。
手柄をひとつの逃してしまいました。
0コメント