2024.04.04 00:18香りを迎えに迎香穴というツボがあります。香りを迎えに行くと解釈してよく、名は体を表す好例です。それにしても美しい名前です。よく響くところです。「臭いが分からない」という方はよくいますが、ここに鍼をしておくと鼻も通りやすい。手の指でさすってみてもいい。導引按蹻の類です。
2024.03.16 00:55梅核気と月経異常梅核気が久しぶりに出たとのことですが、振り返るとここ数カ月の月経がおかしかったという。咽の不調の診察をしていて見つけた少腹急結ですが、少腹急結はそもそも月経異常にも大きく関わります。少腹急結とは漢方の用語であり、下腹部に現れる反応をいいます。下腹部が硬い=少腹急結と捉えている医師も多いようですがそうではなく、少腹急結という診断要件を満たすにはいくつかの条件がそろう必要があります。そこは専門知識がいるところなので省きますが、なにはともあれ少腹急結があれば瘀血の存在を示唆します。前回述べた経緯から、このかたの梅核気は瘀血であったといえます。また瘀血は月経異常にも関わります。ここ数カ月の月経異常が解消されないまま春に突入してしまったがために現れた梅核気だった...
2024.03.14 00:30梅核気と少腹急結「久しぶりに梅核気になった」という女性。梅核気とは、ヒステリー球ともいわれる咽の違和感です。漢方医に小柴胡湯に五苓散を処方されたものの、あまり効き目がないらしい。梅核気とみるや、半夏厚朴湯を出すようなテンプレ処方がなされることが多いですがそうではない。ちゃんとした診察を受けた上での処方のよう。診察させて頂くと、確かに小柴胡湯も五苓散も良さそうな気配。しかし、少腹急結による影響が大きく思われ、その処置をしてみると咽の違和感はその場で消失。ついでに頭痛も取れたという。ビンゴでした。薬方ならばもっとほかの処方ならよかったのかもしれない。「病名」と「治療法」を固定化させることができないいい例です。
2024.03.09 00:42天地が痞えて上咽頭炎前回から続いています。気が胸が痞えているだけならばまだそれほど症状が深いとはいえませんが、そこに痰飲が絡むと大変です。交差点の信号が壊れているのと、交差点でトラックが横転しているくらいの違いがあります。逆に分かりにくいかもしれませんが。痰飲が絡む場合はただ胸が痞えるというのではなく、重苦しいという雰囲気になります。痛みを伴う事もある。これを胸痺、酷いと結胸といいます。動悸・息切れ・不安症が伴う事も多く心臓病を疑われます。しかし大抵、心蔵に異常は見られない。せいぜい期外収縮が見られる程度。新型コロナ感染後にこういう状態になったという人が多く来院されています。病名としては逆流性食道炎といった辺りに落ち着くようです。後鼻漏も頻発します。こういう場合、最近は慢...
2023.12.19 01:05ハートウォーミングな鍼鍼をしていたら、胸がポカポカ温まったそうです。体位性頻脈症候群(POTS)、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)をお持ちの方で、新型コロナ感染後からの不調です。横から起き上がるとふらつきを覚え、身体を起こしておられない。この時に心拍数が大きく上昇。運転・歩行中、どこに視点を合わせたらいいか分からなくなる。イヤホンがダメで、大声で歌えない。悪天候で不調が増し、スマホも見れない。人込みでめまい。中途覚醒、寝汗、手の痺れ、足の脱力感。いろいろあります。起立性調節障害という病名をよく聞いた時期がありましたが、どちらも自律神経失調症の様相があります。治療法としてはなにも変わらない気がします。**鍼をした後、胸のあたりに感じていた寒々しさが失せ、胸が温まったそう...
2023.11.07 00:40吐方と慢性上咽頭炎2漢方において、汗吐下和(かん・と・げ・わ)という治法があります。「吐」方は吐かせる治療法であり、該当する薬方を催吐剤といいます。胃の内容物などを吐き出すことを指しますが、吐方はかなりきつい治療法だったらしく次第に廃れました。一方で、口内から痰を排出することで治癒していくという過程もまた、まさに吐法の一部なのではと前回述べました。上咽頭を病む場合、上咽頭単独で炎症がある場合もあるでしょうが、どうも下咽頭~食道あたりまで荒れていることはよく様子です。実際に目で見て確認することはできませんが、触診でもある程度の予測ができます。胸と腹を治さずに喉だけ治すことはできません。吐方の歴史は古く、『内経』『難経』にも記録があります。「髙き者は因りて之を越す」『素問』陰...
2023.11.04 00:19吐方と慢性上咽頭炎慢性上咽頭炎の治療をしていると、回復期の中盤から終盤にかけて痰をたくさん吐出する場合があります。今日も「前回治療後、オレンジ色の痰をたくさん吐いた」という報告を受けましたが、そういうことがあります。この現象がなぜ起きるのかを考えてみると、吐き出すべきものが上手く吐き出せていなかった人が、体力が回復するにつれてそれを吐き出せるようになってきた、、ということなんだと思います。上手く吐きだせないとはどういうことか。例えば「のどに張り付くような痰があって吐き出せない」という場合がよくあります。とても乾いている。それが治療をしていると、それが潤ってきます。咽頭部の細胞組織を内から潤すように分泌物が湧き、咽に染みつきへばり付いた痰が染み出してくるイメージを私はもっ...
2023.10.31 00:40刺絡から考える慢性上咽頭炎のどの不調を訴える人は多いです。慢性上咽頭炎という病名がつけられる人が最近では多く、Bスポット療法を受けてきた人をよく見かけます。たくさん出血して不調が治るという人もいますが、そうでない人もいます。あまり出血がない人。出血した割に改善しない人もいます。その謎について刺絡の視点から考えてみたいと思います。
2023.10.21 00:25ブレインフォグ治療について新型コロナ後遺症関連の話の続きです。鍼治療はブレインフォグにも有効で大抵は速効性があります。しかし、生活の中で徐々にぶり返していく方があり共通点をみてみると、そのほとんどがデスクワーク従事者であることが多い。PC作業はどうしても脳内に熱を吹き溜まらせ精気を傷つけるからだと思われます。その内熱や腎精の損傷によって大脳の活動は低下します。それは顏、首、肩のこりとして自覚されやすいです。そのこりをほぐせば表面的には多少緩和することもできますが、しかしそれだけでは長続きはしません。発汗過多と痙または間違ったタイミングでの発汗法によって”痙”という病気になっている場合もあります。痙攣の痙です。痙病になる原因には葛根湯や麻黄湯で失敗したりする場合があると昔から言わ...
2023.09.14 00:20異臭症-臭いにおいがする「ドブのような臭いがする」「糞便臭がする」このような異臭が感じられるという。想像するにとてつもなく不快な症状です。鼻うがいをしても、Bスポット療法をしても、服薬しても取れない。それを笑って話せる人もいれば、死を考えたという人もいます。重症度はさまざまのようです。そんな症状があるのかと思われるかもしれませんが、副鼻腔炎、蓄膿症の方が訴える症状のひとつであり、異臭症といいます。コロナの後遺症による嗅覚障害とはにおいが分らなくなることと思われていますが異臭症に苦しむ人たちもいることが分ってきました。そんな人たちがちらほら来ます。軽微なものであれば速効性が期待できますが、頑固な症状だとかなり時間がかかることもあります。病の深度、経過、年齢や体力によって回復度合...
2023.06.29 01:21喉から首に来る首を寝違えたそうです。首の伸展障害があります。きっかけは特にないそうですが詳しく聞いてみると、数週間前に発熱した時にお酒を飲んだから声が出なくなり、そのあたりから不調なのだそうです。広い意味では感染症後遺症の可能性があります。というか、そもそも熱が出たときにお酒を飲んではいけません!たしかに声にガラガラした感じが残っています。右の肺経、左の小腸経で痛みが大分取れましたがその日は声が出るようにはなりませんでした。***翌週、首は大分良いようですが、声はまだ半分くらいでない。***翌週、首は問題なくなり、声も出るようになってきました。喉からの邪気が首いったのだと思います。そういう意味ではまだ首の痛みも油断できません。首の痛みは単なる首の痛みではないことがあ...
2023.03.24 03:06セキがでる昨年の11月頃から咳がとまらないという5歳の女の子。お母さんがまずは治療を受けられており、大分元気になってきたので今度は娘さんを連れてこられました。セキの音はその出所によって全然違います。訓練すれば、一度聴けば大体どのあたりが悪いのか判断ができるようになります。この子の場合は喉の上の方、顎の下の境目あたりから出ています。触診してみると天容穴、翳風穴のあたりに反応が出ていました。少陽病からこじれたままになっており、なかなか抜けにくいだろうということが予想できます。