大便と手汗

続きです。

邪が内攻して大便は硬くなるという話でしたが、これは陽明病です。それと手汗との関連はおもしろいです。慢性化すると必ずしも硬くはなくなりますが問題は残ります。「毎日便通がある」という人であってもです。

そういう方の治療をしていくと下痢が起こったりすることがあります。(次回、自体験を述べます)そうして腹中の邪気と水毒が減ると、汗はかかなくなっていきます(水毒があるとアレルギー疾患がでやすいのですが、アレルギーも緩和していきます)


一般に”宿便が出た”といったりもしますが、宿便の有無というより、邪気があるかないかと言った方が実際的だと私は思います。邪気は施術者には直接的に把握できるものですが、脈、腹、舌などを参照にすることによっても存在を推定することはできます。


邪気がないのに下剤を使うと便秘は悪化します。匙加減も重要です。間違って下した場合のリカバリーをどうしたらいいのか、そういう問題が2000年前からありました。いかに当時から誤って下すことが多かったか、難しかったかを物語っています。


酸化マグネシウムは軽い便秘薬だと言われていますが、実感としてはあれでも十分慢性化します。軽い云々というより、適不適があります。

漢方薬でも大黄が代表ですが、使い方を誤るとやはり痼疾化します。下法はかなり慎重を要する治療法です。

そのような視点からみると、ダイエット目的で「宿便を出そう・やせよう」みたいなキャンペーンは本当に安全なのか心配になります。命取りにならねばよいのですが。


 「陽明病、脈遅、雖汗出不悪寒者、其身必重。短気腹満而喘、有潮熱者、此外欲解。可攻裏也。手足濈然汗出者、此大便已鞕也。」


探花逢源

福岡県福岡市 誠花堂院長のブログ