2024.03.16 00:55梅核気と月経異常梅核気が久しぶりに出たとのことですが、振り返るとここ数カ月の月経がおかしかったという。咽の不調の診察をしていて見つけた少腹急結ですが、少腹急結はそもそも月経異常にも大きく関わります。少腹急結とは漢方の用語であり、下腹部に現れる反応をいいます。下腹部が硬い=少腹急結と捉えている医師も多いようですがそうではなく、少腹急結という診断要件を満たすにはいくつかの条件がそろう必要があります。そこは専門知識がいるところなので省きますが、なにはともあれ少腹急結があれば瘀血の存在を示唆します。前回述べた経緯から、このかたの梅核気は瘀血であったといえます。また瘀血は月経異常にも関わります。ここ数カ月の月経異常が解消されないまま春に突入してしまったがために現れた梅核気だった...
2024.03.14 00:30梅核気と少腹急結「久しぶりに梅核気になった」という女性。梅核気とは、ヒステリー球ともいわれる咽の違和感です。漢方医に小柴胡湯に五苓散を処方されたものの、あまり効き目がないらしい。梅核気とみるや、半夏厚朴湯を出すようなテンプレ処方がなされることが多いですがそうではない。ちゃんとした診察を受けた上での処方のよう。診察させて頂くと、確かに小柴胡湯も五苓散も良さそうな気配。しかし、少腹急結による影響が大きく思われ、その処置をしてみると咽の違和感はその場で消失。ついでに頭痛も取れたという。ビンゴでした。薬方ならばもっとほかの処方ならよかったのかもしれない。「病名」と「治療法」を固定化させることができないいい例です。
2023.11.18 00:30乳腺炎の鍼産後の乳腺炎にも鍼治療はできます。教科書的に行くと、まずは経脈の走行でいえば足の厥陰肝経が、または足の陽明胃経が乳房付近を通過します。手の太陰肺経や心包経でもいいでしょう。しかし、この度は手の太陽小腸経で取れました。手から肘のあたりに2,3点軽く刺激をしておしまい。この後、乳腺炎が大分よくなったそうです。直接、乳房に触れることなく、遠隔で治療できるのが鍼のいいところです。
2023.02.22 11:15不明熱腰の辺りから背中にかけて、不快な熱さが出てくるというご婦人。胸の圧迫感や動悸、歯ぐきの違和感などもあるそうです。更年期障害ともいわれそうな症状です。原因は不明です。こういった熱型の多くは虚熱として認識できます。針治療を続けていく中で”徐々に”不快な熱さが出なくなってきました。その直後から楽だという人もいますが、損耗した気血を回復させていくには時間がかかるのが普通です。
2023.01.31 01:10落ちるから上がる8か月の妊婦。やや赤子が下の降りてきていること。お腹の張りが気になるとの事で来院されました。出血はありません。お腹の形を拝見すると、赤ちゃんが下がってきている割に、むしろ下腹部は細くすぼまっています。問題はむしろ上腹部にありました。肺の宣散粛降がうまく行っていないので、肺の気を補うと息が深くなりリラックスされました。お腹の形も均等に美しくなり、下腹部はどっしりとしてきた感じです。これを”気が落ちた”といいます。気を落としたら、赤子も下に下がるんじゃないかと思うかもしれませんが逆です。気が落ちるから赤子は上に上がる。もとの位置に戻る。妊婦の頭も冴えて、便秘は解消する。落として上げるわけです。言葉でいうと矛盾していますが、矛盾はありません。一本の鍼でここま...
2022.12.16 01:20にきびができる所にきびができる、できないという問題。次に、”どこに”できるかという問題があります。顔にできる人、体幹部にできる人。お顔といっても、どこにできるか。あご回りなのか、おでこなのか・・・話が変わってきます。前回紹介した、腰回りにできる場合だと下腹部の問題が反映されているのは普通です。女性で下腹部の問題という場合は、月経が関連している場合が多いです。毒があり、寒がある場合は、なかなか動きません。ある程度の熱量が必要で、お灸は良く合います。ただ、熱量を加えるだけでもなかなか動かないので、工夫が要ります。
2022.12.15 03:05腰回りのにきび腰回りの痤瘡。にきびです。腰回りに広がっています。瘢痕となって黒く色素沈着した感じもあります。瘀血・食毒の存在が伺われます。脂っこい食物や甘い物、濃い味付けが好きな人が多いです。婦人科が関連している場合もよくあります。普通の刺鍼でも有効ですが、刺絡や火鍼はよく適応します。
2022.12.14 11:52かつてないほど楽。頭痛、肩こり、息苦しさ、倦怠感が主訴です。特に検査では問題がないそうです。ただ、症状は楽になりません。心下痞硬、下焦の瘀血がみられます。やや便秘。月経痛もあるそうです。5回目、「かつてないほど楽」とのお言葉を頂きました。刺絡もかなり合うようです。月経痛は月単位で見てみないとわかりませんが、よくなっていくはずです。
2022.10.12 05:25背筋が伸びてきた主訴は婦人科系の症状です。反応をみると腹ではない。三陰交でもない。たいてい、婦人科の不調はこういう所を治療することになっています。教科書的には。ただ、そこに"ある"感じはしません。それよりも督脈の異常が明らかなので、その異常がなくなるように治療を繰り返しました。
2022.09.26 10:53指先のはなし婦人科疾患の治療中の方です。足の小指を軽くつまんでみると、とても痛そうでした。右だけです。左足は普通です。ご本人は左右で全然違うことに驚いていました。まぁ、自覚がある人のほうがめずらしいです。理屈でいえば膀胱経か腎経に反応がでそうなものですが、見てみると胃経のやや奥に問題があることがわかりました。施術後は、右足小指の痛みはなくなり、動きもよくなりました。婦人科の治療なのに、なんで足指? と思うかもしれませんが、こういうことは意外と大事です。本で婦人科疾患といえば三陰交と大抵書かれていますが、こういうことを見ずに三陰交に鍼やお灸をしていても効果は薄いです。