2023.12.30 06:00修業時代の記憶かつて、茨城県にある道場に毎月、鍼灸修行に通っていました。その頃の思い出です。過去に『いやしの道 機関紙』に投稿した文章の修正版です。***曙色。または橙色。朝陽が差し込み白壁を染めていく色を見ていた。冷たい空気。白い息。足が痺れて立てない。永遠のように感じる座禅は睡魔との闘いでもあった。思い返してまず浮かんだのは夢現に見ていた壁の色。永遠に感じる痛苦の中で、永遠を感じさせる色が私をみていた。
2023.12.23 01:06愚鈍で行こう輪読会の話をして、その続きです。明日から使える技術セミナーみたいなものが活況の今、わたしたちがしていることは、世間様から見たら、愚鈍な集団にみえるかもしれないなと思う時があります。でも、私は思います。世間から愚かと言われるくらいがいい。鈍いくらいの方がいい。度が過ぎるのは困りますが、、、、わたしも若いころは随分、ばかにされたり笑われたりしてきました。そんな古臭いことをやってなんの意味があるのか。そんな金にもならない事に精を出してどうやって食べていくのか、、、そもそも鍼なんて本当に効くのか?? プラセボだろう、、、さんざん言われました。普通はだれもこの価値に気づけないのです。だから、世間には笑わせておけばいい。一心に邁進していくためには、中途半端な”聡さ...
2023.12.21 00:5324年度の輪読会を終えて年内最後の傷寒論輪読会を昨夜終えました。中国の古い医学書を読んでいます。なんせ2000年前の本で白文です。日本語解説があるとはいえ、出てくる単語の意味が分からない。辞書で引くにもそこに出てくる単語の意味が新たにわからない。。。そもそも現代人には読めない漢字が多すぎます。私はいちいち辞書で引いて読みましたが、それだと辞書を引くだけで膨大な時間がかかります。初めのうちは一文、一節、一章を理解するだけでも大変です。そんな感じで大体200章くらいあります。それを昔の人は何べんも読み込んだ。横田観風先生からも「20回、30回と読みなさい」と言われましたが、まだ私もそこまでいきません。そもそも普通は最後まで読み切れることすら困難です。すぐ分かる。すぐ身につくわけで...
2023.12.19 01:05ハートウォーミングな鍼鍼をしていたら、胸がポカポカ温まったそうです。体位性頻脈症候群(POTS)、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)をお持ちの方で、新型コロナ感染後からの不調です。横から起き上がるとふらつきを覚え、身体を起こしておられない。この時に心拍数が大きく上昇。運転・歩行中、どこに視点を合わせたらいいか分からなくなる。イヤホンがダメで、大声で歌えない。悪天候で不調が増し、スマホも見れない。人込みでめまい。中途覚醒、寝汗、手の痺れ、足の脱力感。いろいろあります。起立性調節障害という病名をよく聞いた時期がありましたが、どちらも自律神経失調症の様相があります。治療法としてはなにも変わらない気がします。**鍼をした後、胸のあたりに感じていた寒々しさが失せ、胸が温まったそう...
2023.12.12 00:40覚醒度が高すぎる新型コロナ感染後、寝れなくなってしまったという男性。日中の覚醒度が高すぎると訴えます。ちっとも眠たくならないし、ちからも抜けない。診察させて頂いても一目瞭然明らかに。確かに。見るからに覚醒しまくっています。動画を撮らせて貰えばよかった。これでは寝れないだろうなという状態が全身に及んでいます。幸い治療の適応は高く、治療するごとに徐々に眠れるようになっていきました。やはりこれも”痙”といったところでしょう。意外と多い痙病。揉んで取れるような緊張ではありません。
2023.12.09 10:54忘れ物「しまった! 患者さんの忘れ物がある・・・・!」なにかが小物入れにありました。金属の煌めきはなく、指輪やネックレスとは違う。財布やスマホの形状ではない。なんだか茶色い破片。なんだこれ?慌てて手に取ってみると”じゃがりこ”の破片でした。色から察するに”たらこバター”です。取りに戻ることはないでしょうから即、捨てました。貴重品だったらすみません。弁償します。忘れものには気をつけようとあらためて肝に銘じました。
2023.12.07 00:25手の少陰心経の是動病「ぎっくり腰をやりそうで」と言い来院されました。靴下を履こうとすると怖いらしい。前屈してもらうと「前屈はできるんすよ~」と言い、確かに床に手がつくほどですが、腰椎に障害があるのが見てとれます。東洋医学的には風寒の邪に傷られており、経絡的には手の少陰心経の是動病でした。(条文にはありませんが)そこに鍼をすると腰の不安が取れましたので成功です。腰には指一本も触れていません。5分ほどの治療で終わりです。これが東洋医学の面白いところです。
2023.12.05 00:26顔の中が凝る3東洋医学のおける病名では、口噤、または牙関緊急が食いしばりに該当します。病理としては痙。軽度の「痙」はまだいいですが、重症になると治療に難儀します。瞬きを一秒間に10回くらいしている人もいます。眠りについているのに半目が開く人もいます。目が閉じないという症状です。眼が乾燥して慢性結膜炎の原因にもなります。それを単なる目の病気として見ていると上手く治せない。それを痙として治療すると上手くいったりします。首肩のこわばりを訴え、顔が赤く、手足に冷えがあると、風邪に初期と見間違うことがあると『金匱要略』ではいっています。こんな時は葛根湯を飲んだりしてはいけない。太陽傷寒であれば脈浮緊になるのがセオリーですがそうなってはいない。もし脈が沈遅であるならば、それは痙...