四両発千斤

王宗岳の太極拳論に、

「察せよ、四両千斤を撥くの句を。

 力に非ずして勝つこと顕かなり(察四両撥千斤之句、顕非力勝)」という句があります。


筋力を否定するわけではなく、筋力のぶつかり合いだけではない技の世界がある事を示唆しています。

最小の力で最大の効果が出せることを志向しているという点ではわたしの鍼も同様です。最小の刺激で最大限の効果を出したい。そういう工夫をしてきました。そしてそういう取り組みをしていると、刺さなくても鍼を効かせられることが分かってきました。

刺さない鍼の代名詞。例えばテイ鍼です。テイ鍼は人体に刺すことができません。微細な刺激なので治療してないように思われることもあります。説明不足のために患者さんを憤慨させてしまったことがあります。


太くて、長い鍼を長時間刺しっぱなしにして効かせるというのは、長・大・強であればいいという物量の世界です。私もこういった使い方もよくしますのでそれがダメとはまったく思っていません。

ただ、そういう物量の次元だけでやっていると微細な世界が分からなくなります。そしてそういう鍼しかできなくなるのがよくある問題です。

両方自在に使える方が応用が効きます。当然のことです。

探花逢源

福岡県福岡市 誠花堂院長のブログ