2026.06.25 01:14臨床デビューの思い出私が始めて臨床デビューした患者さんはなんと、隠れ狭心症でした。当時私はかなり大所帯の鍼灸クリニックに在籍していまして、そこのリーダーが「いつもの肩こりだから大丈夫。大きな不調も持病もない方だからやってごらん」と常連の中年女性を私にあてて下さった。その女性はお人柄もよく優しい方でした。新卒のルーキーが担当するにはこの上なく安心・安全なデビューとなるはずでした。緊張しつつも診察させて頂くと、「肩が凝る」というか「痛い」というべきレベルらしく、事前に聞いていたよりも具合も悪そうです。そしてその痛みは15分程度で収まるものの、ここ数日、急に現れているという。う~む。これは本当に肩こりなのだろうか?「その”痛さ”は、今までの肩こりと同じような感じですか?」と伺う...
2026.06.17 12:44正常眼圧緑内障の局所治療について正常眼圧緑内障における視野障害進行抑制に対する鍼の有効性と安全性:24週間ランダム化対照試験という論文を読んでいました。鍼が正常眼圧緑内障にも良いということが臨床的に示されたのですが、使用した経穴は睛明穴(BL1)と球後穴だけ。目に効かせたいから目の周りに針をするーこれは「局所治療」といい、東洋医学に期待されている「本質的な」治療とは異なります。それでも偽針と比べて優位な差が見られたのは面白い。熟練した鍼灸師が施術を担当したのだとは思いますが、それでもあまり難しいことを考えずとも、こういう局所的な鍼でも”最良矯正視力(BCVA)の有意な改善、網膜神経線維層(RNFL)厚の有意な維持・増加、および眼圧(IOP)の有意な低下を達成”したという。球後穴は実は...
2026.06.04 04:48触診が上手いお医者さん見た目はすこし怖そうでした。先生はにこりともせずに「みせてごらん」といい、私はシャツを脱いで身を任せます。わたしがまだ小学生くらいだったか。年配のお医者さんが目の前に座っていました。聴診器を当てたり、背中をトントンと小気味よく叩いて調べていく。その手際の良さ、心地よさ。子供心にもなぜか、ホッとするというか、それだけで治ってしまいそうな気がしたものです。この”怖そうな先生”とその手の心地よさのギャップ。そのことも相俟って、この記憶はいつまでも私の記憶の中に刻み付けられることとなりました。当時、まさか自分が医療者になるなどとは露にも思いませんでしたが、いま振り返るとそういう”医の原風景”みたいなものが自分のなかにあって幸運でした。こういう感覚的な部分は今の...