偶発的であったとしても劇的に効かせられた。鍼灸師ならば誰でも1度や2度、そういう体験があると思います。それが鍼のちからなのですが、それを単なるマグレに終わらせずに安定的に発揮するためにはどうしたらいいか。そういうことを考えてきました。
不遜な様ですが、実は慣れてくるとそれはそれほど難しいことではありません。理由があります。
針灸治療は生業として成立しているので、毎日多くの人の治療を通じて実践が磨けるという面があります。そのため四両発千斤の世界に近づきやすいと言えます。毎回とはいきませんが発生確率も上がります。武術で実践するなら、この太平の世に連日ストリートファイトを行うことになります。なかなか実現しがたいのは当然です。
大抵、患者さんが驚きます。その驚きや喜びは回復への希望を持たせてもくれます。
四両発千斤の思想は魅力的です。
受けた人は魔法かなにかのように驚いてくれるので、掴みとしてはいい。ただ、それは医療本来の目的ではありません。ある程度実現できるようになり、今思う事は「そんな事はどうでもいい」ということです。そういう冷めた態度も必要です。
こういう話は神秘化しやすい面もあります。こだわりすぎるのも良くありません。こだわりを持つという事自体が太極拳的ではない。老子的には反自然と捉え、仏教では魔境と呼びます。
眼を眩ませるのでしょう。
0コメント