2023.11.07 00:40吐方と慢性上咽頭炎2漢方において、汗吐下和(かん・と・げ・わ)という治法があります。「吐」方は吐かせる治療法であり、該当する薬方を催吐剤といいます。胃の内容物などを吐き出すことを指しますが、吐方はかなりきつい治療法だったらしく次第に廃れました。一方で、口内から痰を排出することで治癒していくという過程もまた、まさに吐法の一部なのではと前回述べました。上咽頭を病む場合、上咽頭単独で炎症がある場合もあるでしょうが、どうも下咽頭~食道あたりまで荒れていることはよく様子です。実際に目で見て確認することはできませんが、触診でもある程度の予測ができます。胸と腹を治さずに喉だけ治すことはできません。吐方の歴史は古く、『内経』『難経』にも記録があります。「髙き者は因りて之を越す」『素問』陰...
2023.11.04 00:19吐方と慢性上咽頭炎慢性上咽頭炎の治療をしていると、回復期の中盤から終盤にかけて痰をたくさん吐出する場合があります。今日も「前回治療後、オレンジ色の痰をたくさん吐いた」という報告を受けましたが、そういうことがあります。この現象がなぜ起きるのかを考えてみると、吐き出すべきものが上手く吐き出せていなかった人が、体力が回復するにつれてそれを吐き出せるようになってきた、、ということなんだと思います。上手く吐きだせないとはどういうことか。例えば「のどに張り付くような痰があって吐き出せない」という場合がよくあります。とても乾いている。それが治療をしていると、それが潤ってきます。咽頭部の細胞組織を内から潤すように分泌物が湧き、咽に染みつきへばり付いた痰が染み出してくるイメージを私はもっ...
2023.10.31 00:40刺絡から考える慢性上咽頭炎のどの不調を訴える人は多いです。慢性上咽頭炎という病名がつけられる人が最近では多く、Bスポット療法を受けてきた人をよく見かけます。たくさん出血して不調が治るという人もいますが、そうでない人もいます。あまり出血がない人。出血した割に改善しない人もいます。その謎について刺絡の視点から考えてみたいと思います。
2023.07.11 01:16梅雨の湿疹2抗生剤によって腸内細菌の菌交代現象が起こっても湿疹はよく出るようです。その現れるラインや分布をみていると、意味を見て取ることができたりします。ある人は足の陽明胃経沿いに湿疹が出ていました。脾胃の失調が根底にある湿疹。湿気は脾胃との親和性があります。抗生剤により脾胃の気がやられていたところに湿邪に入られ発症したとも言えます。お灸がいいですが、鍼もいいです。
2022.10.01 01:036.指先の荒れと鼻腔粘膜Ⅱこの時期の肌荒れや指先の荒れは、鼻腔粘膜の荒れと関連がありそうだとのべましたが、どちらも抹消部分であり外界との最前線です。その末端部分の水分保持を妨げるものは色々ありますが、いまは秋の乾燥と冷えの影響がでやすい時期だといえます。一方で胃内停水が増え、耳鼻咽喉~胃腸の不調が増えています。夏が終わり、汗がかけなくなってきたことと関連があります。なんとなく体も冷え、元気に乏しくなります。「夏の疲れ」といえます。そんなとき、発熱もなく、ただ鼻水とくしゃみだけが出たりする。眼がかゆくて、鼻がムズムズする。「花粉症になった」という人も増えました。本当に花粉症か分かりませんが、こういった症状は出始めが肝腎で、初期でしっかり対処しておけば、一回で抜ける事も少なくありま...
2022.09.20 03:04大便が5倍出た主訴:花粉症(目のかゆみ、鼻水、鼻づまり)小建中湯証の上に小柴胡湯証が乗っかったかのような症例。腹痛はないが『傷寒論』太陽病中70にまさにこのような症例があります。小柴胡湯証と見なして施術。その後、帰宅したら大便が「いつもの5倍出た」という報告を頂きました。それだけ胃腸の働きが回復したならば、花粉症もきっと楽になりますよ。*5倍というのは厳密に計測したわけではなく個人の感想であり、また毎回施術するたびに誰でも5倍出るわけではありません。